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​研究室の歴史・記録

 本学獣医保健看護学科は2005年に日本で初めて獣医学部に設置された動物看護系学科です。第1期生が3年次になる2007年に基礎・臨床・応用の3つの部門にそれぞれ3~4分野の研究室が設置されました。病態病理学研究分野は応用部門に最初に設置された4つの研究室のうちの一つで、2006年に本学に着任されていた湯本典夫先生が初代教授として就任されました。湯本先生は本学獣医学科出身で、千葉大学や日本医科大学の医学部病理学研究室で大腸癌、リンパ腫等の研究に携わられており、当研究室を立ち上げてからは医学領域で行われていたリアルタイムPCRなどの先端的な分子生物学的手法や知識を動物の腫瘍研究に取り入れ、時に厳しく時に優しく学部学生の卒論や大学院生の修論の指導をされました。また湯本先生はヒトの病理診断の長年のご経験があり、またイヌ、ネコ、ウマ、さらには動物園動物まで幅広い動物種の病理診断もされる、まさに汎動物病理学を体現するようなお仕事をされていました。

 研究室設置の翌年2008年には北海道大学獣医学科出身で愛知県がんセンターに勤めていた山本昌美助教(翌年講師昇進、現准教授)が着任し、研究室の活動がさらに盛り上がりました。また湯本先生の本学獣医学科の同期であり日本医科大学医学部の第1病理学講座の准教授であった石﨑正通先生が客員教授を務められました(2018年3月まで)。研究室のある12号棟は古くて狭い建物ではありましたが、教員も学生も新しい学科や研究室の立ち上げの熱意に溢れ、活気のある研究室でした。また湯本先生が山歩きをご趣味とされていたことから、研究室員一同で高尾山などの山登りを企画し、これは現在でも年に一度の研究室レクリエーションとして続いています。

 2014年3月に湯本先生がご定年を迎えられ、それまでの卒業生が集合して盛大な退職記念祝賀会が開かれました。

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​応用部門の教員室と第6実習室のあった12号棟

2008年 教員と1期生

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​2010年 教員室の様子 教授室の一角をお借りしてパーティー

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​2010年 研究室レクリエーション 御岳登山

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​2012年 教員と5期生の似顔絵

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​2017年 石崎客員教授最終実習

2010年 実験室と3期生4期生

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​2010年 実習の様子

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2014年 湯本教授ご退職記念祝賀会

  2014年度

 4月に新たな合同教育・研究拠点であるE棟が完成し、病態病理学研究分野も同じ形態学研究系である高次機能学研究分野(神谷新司教授)とともにE棟4階の新しい研究室に引っ越しました。7月には、日本大学獣医学科出身で、本学獣医病理学研究室で博士号を取得し、日本医科大学医学部で研究員をしていた吉村久志助教(現准教授)が着任しました。新しい実験室に様々な機器を整備することができ、細胞培養実験やin situ hybridizationなどの新たな手法を取り入れた研究が開始しました。

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​2014年 引越し直後のE棟4階新研究室と7期生8期生

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2014年 研究室レクリエーション 高尾山登山 ご退職された湯本前教授にも来ていただきました

 2015年度

 獣医保健看護学科開設10周年を迎え、11月28日の記念行事には当研究室の卒業生も多数集まりました。2015年からは同じ応用部門である保全生物学研究分野との連携を強化し、山本俊昭講師(現教授)や院生の遠藤くんとの共同研究でツキノワグマやイノシシなど様々な野生動物の検体を受け入れるようになりました。さらに梶ヶ谷博先生(保全生物学研究分野教授、当時)の仕事を受け継ぎ、環境省保護増殖事業におけるニホンライチョウの病理検査を担当させていただくことになりました。また野生動物では寄生虫が頻繁に認められることから、獣医寄生虫学研究室の先生方にご指導を頂きながら寄生虫の病理標本の収集を開始しました。

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​2015年 学科開設10周年記念祝賀会 湯本前教授、卒業生と

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2015年 保全生物学研究分野のイノシシ調査に同行

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2016年3月 保全の研究室でイノシシ鍋 左から梶ヶ谷先生、山本俊昭先生、神谷先生、遠藤くん

 2016年度

 吉村助教が顕著な業績をあげ日獣大の栄誉に貢献した若手教員に送られる梅野信吉賞を受賞しました。また樹脂封入やプラスティネーション技術を用いた病理標本の肉眼教材作製の取り組みを始めました。

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2016年 梅野信吉賞受賞式後の記念写真

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2017年3月 卒業式 9期生10期生

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2016年 研究室の様子 石崎先生からいただいたじゃがいもでパーティー 9期生10期生

 2017年度

 10月に吉村助教が講師に昇進しました。奄美群島の動物病院の先生方のご協力で、アマミノクロウサギ等の稀少野生動物の死因究明活動を開始しました。また本学獣医病理学研究室のご協力で、当研究室のメインテーマの一つであるイヌの乳腺腫瘍の検体を収集し、tissue microarrayの作製等を開始しました。

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​2017年 10期生 病態病理学と高次機能学の学生が一緒に研究室活動を行います

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​2017年 鹿児島大学主催の獣医学会時に立ち寄った平川動物公園で運命の出会いを果たしたアマミノクロウサギ(のお尻)

  2018年度

 4月から農研機構動物衛生研究所で長年家畜の病理学的研究に多大な貢献をされてきた播谷亮先生を客員教授としてお迎えしました。また本学獣医学科獣医病理学研究室の教授を務められ、前年にご退職された髙橋公正名誉教授に実習をお手伝いしていただけることになりました。さらに同じ応用部門である保全生物学研究分野に嶌本樹助教​(現講師)が着任され、ますます野生動物学分野での連携を深めました。2019年3月に開催された第6回日本獣医病理学専門家協会学術集会において、吉村講師がJCVP奨励賞を受賞しました。

 またこの年には当研究室の教員と学生が立案したデザインが、日獣大の創立150周年を目指した中長期的な改革・改善を目指すプロジェクトのシンボルマークに選ばれました。プロジェクトのミッションステートメント『Connect with the future ~動物と人をつなぎ、都市と地方をつなぐ、獣医・生命科学の情報発信拠点~』から、現在から未来へとつながる「架け橋」、都市と地方をつなぐ「架け橋」を、人と動物が渡っていくイメージのデザインにしました。架け橋を渡る4匹の動物(馬、犬、猫、鶏)は、力を合わせて自分たちの未来を切り拓いたブレーメンの音楽隊のメンバーにちなみ、4つの学科の協力を表わしていますが、選考の過程で馬が日獣大で研究対象になることの多い牛に変更になりました。

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​2018年 応用部門新任教員歓迎会

​2018年 研究室の様子 タイからの留学生歓迎タコ焼きパーティー 11期生

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2018年 卒論発表会 11期生

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2019年3月 JCVP奨励賞授賞式 名誉会員に推戴された高橋先生と一緒に

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当研究室のアイデアが採用されて最終的に作製されたニチジュウミライ図のプロジェクトマーク

学内の意見交換会で修正が加えられた上で、学生及び教職員の投票により選ばれました

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当研究室がデザインしたニチジュウミライ図(中長期計画)のプロジェクトマークの原案

​人と動物がつながり、架け橋を渡る姿をイメージしている

 2019年度

 4月に山本講師が准教授に昇進しました。そして令和の新しい時代を迎え、6月には学科開設以来の念願だった愛玩動物看護師の国家資格化の法案が成立しました。11月の学祭では初めて研究室で屋台を出店し、五平餅を完売することができました。2019年はカリキュラムの改定により講義や実習を例年より多く実施したため、忙しい年でもありました。この年度末に新型コロナウイルス感染症が世界的に流行し始め、残念ながら卒業式や謝恩会が中止になりました。

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​2019年 愛玩動物看護師法制定記念祝賀会

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​2019年 研究室レクリエーション 卓球大会 12期生13期生 播谷客員教授、高橋名誉教授と一緒に

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​2019年 学祭初出店 五平餅屋台 12期生13期生

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​2019年 学祭研究室パーカー

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​2019年 野生動物医学会(山口大) 加藤くんポスター発表

 2020年度

 この年の初めはコロナ禍による学生の登校禁止で、慣れない遠隔授業の資料作成に追われました。徐々に学生の登校が再開されると、実習については様々な感染対策を講じた上で対面で実施することができましたが、その準備で慌しい一年でした。
 そんな中でも研究室活動は大きく飛躍しました。研究室開設時から動物園動物の病理検査を続けてきましたが、さらに多くの動物園の先生方の協力を得て『パラフィンZOO プロジェクト( Paraffin Zoo Project )』―野生動物臓器のパラフィン包埋組織ブロックの収集・保管と、それを用いた野生動物の疾病の解明事業―を本格始動し、動物園動物の病理検体の受け入れを大幅に拡大しました。学生の研究室活動が制限される中で、ダイバーシティ推進事業により岸本くん、佐熊さんが研究支援員として配置され、一年間働いてくれたことが大きな助けとなりました。
 またこの年は前年度にご退職された左向敏紀名誉教授に引き続き学科の教育をお手伝いいただくために、当研究室に一年間ご入居していただきました。またこの年度末で、長らく形態学系教育を当研究室とともにご担当、ご指導いただいてきた高次機能学研究分野の神谷新司教授がご退職されました

パラフィンZOOプロジェクトのロゴマーク(阿久津さん作成)

当研究室で一番初めの野生動物系論文の題材となったアナグマが、パラフィンブロックに包埋されたデザイン

​2020年 コロナ禍での実習の様子(密を避け4分の1ずつの人数で実施、アクリル板の仕切り等)

​2020年3月 左向先生のデスクをお引越し

​2020年12月 神谷先生最終講義

 2021年度

 神谷先生のご退職後に新任教員を迎えることができませんでしたが、本学獣医病理学研究室出身で、東京大学で博士号を取得し、富士フイルムVETシステムズに勤務されている岸本拓也先生に非常勤講師として講義の一部を受け持っていただけることになりました。
 この年は昨年度に引き続きコロナ禍によりゼミや卒論発表会はオンラインで実施しました。学会も様々な形式のオンライン開催が行われるようになり、Web会場にアバターで参加するような学会発表の試みも行われるようになりました。

ゼミもオンラインで実施

​2021年12月 バードリサーチ鳥類学大会のWeb会場での鈴木くんのポスター発表

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